space
space Allies
雲のイラスト
space

 

すぺーすアライズ/
リプロダクティブ・ライツ、国際保健などの情報space

 

 

 

HOME
アライズ総合法律事務所
すぺーすアライズ

お知らせ/ご案内

ニュースブログ "つばさ"

情報ライブラリ

加盟団体/リンク

English

space

 

妊産婦死亡とドメスティック・バイオレンスの恐るべき関係

July 2005
(Maternal death due to domestic violence PAHOPan American Health Organization作成 20057Fact Sheet)

直線上に配置

ドメスティック・バイオレンスと、開発途上国の不相応にも高い妊産婦死亡率の両方ともが、世界的な公衆衛生の課題として認識されています。各国政府は、すべての妊娠している女性に必要なケアを提供することと、女性に対するあらゆる種類の暴力をなくすことに向けての必要な施策を実施することを公約しました(1)。
ドメスティック・バイオレンスが原因で起きる妊産婦死亡がどの程度の割合を占めるのか、国による違いはあるのか、どんな要因がその違いを説明できるのかはまだわかっていません。しかし、妊娠中や産後にドメスティック・バイオレンスによって死亡する女性がいることが報告され続けており、ドメスティック・バイオレンスと妊産婦死亡が関連性があることを示しています。人口統計学や健康調査が、妊娠中に身近なパートナーからの暴力を被る割合が有意に多くなると示してきたことを改めて指摘すべきです(2)。女性の致命的な直接的な外傷、死に至らしめる産科合併症をもたらす腹部の外傷、精神的なストレスまたは女性への支配は、ドメスティック・バイオレンスが妊産婦死亡を引き起こす大きな原因であり、主要なメカニズムです。

「死に至るメカニズム」

a 女性の致命的な直接的な外傷
身近なパートナーによる妊娠中の女性の殺害(femicide)と、妊娠中や産後の女性の自殺は、世界中で文書としても報告されてきました。しばしば望まない妊娠は、このような暴力的な死という結末に大きく結びついています。(3)。
アメリカ合州国(19901991)のいくつかの州では、ある調査によれば、望まない妊娠をした女性は、身体的に攻撃されるか殺害される危険性が3倍高くなります。
1976-1993
年のバングラデシュのMatlabでは、ある調査によれば、妊娠した若者は妊娠していない若者よりも自殺の危険性が高いことが明らかになりました(4)。
メキシコのモレロスでの、安全でない妊娠中絶による死亡についての研究は、2001年の1年間、妊娠した女性の暴力的な死の最高15%までが望まない妊娠によるものでした。その調査には、妊娠していると判明した後に自殺した若者の事例が挙げられています(5)。

b 死に至らしめる産科合併症をもたらす腹部の外傷
妊娠中や産後の女性が、腹部の外傷によって引き起こされる産科合併症によって死ぬこともあります。例えば、外傷が出血、胎盤早期剥離のような産科合併症は女性、胎児の死につながります。
カナダのブリティッシュ・コロンビア州(19992000)では、ある調査により妊娠中に虐待されると、分娩前の出血につながってしまう可能性が最高で3.5倍も高くなることが判明しています(6)。
同じ研究では、妊娠中に虐待された女性は、周産期死亡の可能性が7倍以上も高くなることが示されています(6)。

c 精神的なストレスまたは女性への支配
ストレスと恐怖に満ちた環境も悪い結果を招きます。女性によるある種の危険な行動や、暴力加害者による支配的な言動を通して、ストレス(例えばホルモンの反応)によって引き起こされる生理的反応を通して、産科的な悪い結果につながります(7)。女性の自己決定能力や行動の支配(例えば、部屋に閉じ込める、外出を禁止する、経済的支援を制限するなど)によって、女性たちは合併症が起きたときに援助を求めにくくなっています。
しかし、「ドメスティック・バイオレンスによる妊産婦死亡」は、妊産婦死亡研究に充分に位置づけられてきませんでした。
残念ながら妊産婦死亡の定義も、妊産婦死亡率を推算する公式もドメスティック・バイオレンスによるものを対象としていません。そのため、ドメスティック・バイオレンスがどのように妊産婦死亡に影響しているかについて正確な情報を集め、適切な判断をすることができませんでした。それにもかかわらず、使われる定義や測定方法の実施について大きな議論をせず、ドメスティック・バイオレンスによる妊産婦死亡例の存在に焦点をあてた研究が存在します(8)。したがって、ドメスティック・バイオレンスを妊産婦死亡の原因として考えていく妊産婦死亡の包括的な定義と、幅広い疫学的研究が必要です。
開発途上国で生きる女性は、ドメスティック・バイオレンスによる妊産婦死亡について、より大きな危険を負っています。
ドメスティック・バイオレンスを原因とする妊産婦死亡は世界中のどこででも起きています。しかし、男性への従属が強く、法律や警察による保護が脆弱で、望まない妊娠を予防し対処する選択肢が乏しいため、開発途上国の女性にとっては、ドメスティック・バイオレンスによって妊産婦が死亡する危険性は高所得国よりも高くなります。

全米健康機関(PAHO/WHO)の役割

過去数年間、この報告書を作成しているPAHO/WHOは、ラテンアメリカとカリブ海地域でドメスティック・バイオレンスに関して広範囲な研究と行動をしてきました。19951997年の研究を通して、PAHO/WHOは、介入の優先度の設定、ドメスティック・バイオレンスと結びつく個人と社会レベルでの多数の要因の特定、ドメスティック・バイオレンスの悪循環を打破しようとする女性の「クリティカルパス」の特定などに貢献してきました。PAHO/WHOは、ラテンアメリカとカリブ海地域でドメスティック・バイオレンスと妊娠・周産期の健康の関連性とその大きさを調査することに努力しています。
ドメスティック・バイオレンスと妊産婦死亡のむすびつきのデータを出すことによって、ドメスティック・バイオレンスと妊産婦死亡双方についての包括的アプローチのための、「妊産婦の健康Safe Motherhood」と「ジェンダー公正Gender Equity」を結び付けた展開の枠組みを開発することを促進するでしょう。現在の妊娠中の暴力を防ぐための行動は、2015年までに妊産婦死亡率を75%削減するというミレニアム開発目標(MDG5)を達成し、ひいてはジェンダーの公正Gender Equityに向けて重要な前進を遂げる早道になるでしょう。


References
1. United Nations, Division for the Advancement of Women (DAW). Convention on the Elimination of All Forms of Discrimination against Women (http://www.un.org/womenwatch/daw/cedaw/text/econvention.htm). Retrieved on August 1, 2004.
2. Ellsberg M., Heise L., Pena R., Agurto S., Winkvist A., “Researching domestic violence against women: methodological and ethical considerations.” Stud Fam Plann 200; 32(1):1-16.
3. Gazmararian JA., Adams MM., Saltzman LE., Johnson CH., Bruce FC., Marks JS., Zahniser SC., “The relationship between pregnancy intendedness and physical violence in mothers of newborns.” The PRAMS Working Group. Obstet Gynecol. 1995; 85(6):1031-8.
4. Ronsmans C., Khlat M., “Adolescence and risk of violent death during pregnancy in Matlab, Bangladesh.” Lancet. 1999; 354 (9188):1448.
5. Walker D., Campero L., Espinoza H., Hernández B., Anaya L., Reynoso S., Langer A., “Abortion deaths in Mexico: a case of misclassified second trimester deaths.” Reproductive Health Matters. Forthcoming 2005.
6. Janssen PA., Holt VL., Sugg NK., Emanuel I., Critchlow CM., Henderson AD., “Intimate partner violence and adverse pregnancy outcomes: a population-based study.” American Journal of Obstetrics and Gynecology 2003; 188(5):1341-7.
7. Langer A., Hernández B., García C., Saldaña G., “Identifying interventions to prevent maternal mortality in México: a verbal autopsy study.” In Berer M., Sundari T., editors: Reproductive Health Matters. Safe motherhood initiatives: critical issues. London: Blackwell Science; 1999.pp.127-136.
8. Espinoza H., Camacho V., “Maternal death due to domestic violence:
Unrecognized critical component of maternal mortality.” Rev Panam Salud Publica / Pan Am Health Journal. February 2005, Vol. 17, No. 2. 123-129.
9. Sagot M., Shrader E., La ruta crítica de las mujeres afectadas por la violencia intrafamiliar en América Latina. Estudios de caso en diez países [The critical path of women affected by domestic violence in Latin America. Case studies in ten countries]. Washington, DC: Pan American Health Organization, 2000.

 

 

担当 麻鳥澄江、鈴木 文 ファクシミリ 047-320-3553 電子メール joyful@joy.ocn.ne.jp


space

copyright © 2003-2008 アライズ総合法律事務所/すぺーすアライズ. All rights reserved.