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セックスワーカーたちの、 UNAIDS(国連エイズ合同計画)による
HIVとセックスワークについてのガイダンス・ノート」への意見書

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私たち、セックスワーカーたちの組織と支援団体のつながりは、UNAIDS(国連エイズ合同計画)が発表したHIVとセックスワークについての「ガイダンス・ノート」の内容そのものと、その作成過程の双方に対して、深い失望を表明します。私たちは、国連エイズ合同計画のプログラム調整理事会 (PCB)に対して、このガイダンス・ノートの公表を延ばすよう強く求めます。もしこのガイダンス・ノートを公表するならば、Sex Work Projectsの国際ネットワークと各地のセックスワークのネットワークが異議を唱えていることを明記すべきです。私たちがこのガイダンス・ノートに反対する理由は次の通りです。

今回のガイダンス・ノートは(USAなどによるセックスワーカー撲滅政策の影響による<3本の柱>という考えを紹介していますが、それらは世界でのHIVとセックスワークへの対応について、人権を基盤にしたアプローチ(rights based approach)からかけ離れてしまい、根本的な変化が起きてしまいました。世界中のセックスワーカーたちは、今回の唐突な方針の変化と転換に対抗するため力をこめてしっかりと団結せざるを得ません。

 

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第2のPCB(プログラム調整理事会)が緊急の注意を向けるべき問題点は、GIPA原則に反しており、作成過程での当事者・関係者の適切なかかわりがないことです。GIPA原則とは、もともとThe greater involvement of people living with HIV/AIDSという意味で、当事者を多く参加させるという原則だったのですが、今やGIPA原則は「Great Involvement of Police and Army(警察と軍隊の総動員)」の頭文字にすり替わっています。世界規模の、または地域のネットワークで活動するセックスワーカーや支援者が関与を求めましたが軽視されてしまい、今回のUNAIDSのノートの内容への合意も形成できませんでした。私たちのネットワークは、社会的認知、自律性、資金、尊厳など、私たちが生き延びるために不可欠なものを獲得するために日々闘っています。資源の少ない状況のもとで、性を売る男性たち、女性たち、トランスジェンダーの人たちが参加しやすい特別の配慮が必要です。しかし、UNFPA(国連人口基金)WHO(世界保健機関)の会議は、非常に管理的で、その理解も参加もが難しく、私たちは露骨に締め出され、声を伝えることを妨害されたこともありました。
1.      UNAIDSのガイダンス・ノートは、

 セックスワーカーの人権に適切に対処していません。

 

すべての地域のセックスワーカーたちは、協議の中で一貫して、次のような人権とHIVについての同じ懸念を表明しました。

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? 100%コンドーム使用プログラム(100%CUP)のような権威主義的で、罰則に基づくHIV予防と強制的な検査による悪影響

・世界中でセックスワークへの偏見を広め、さらなる犯罪化と公権力による過激な「急襲と救出(踏み込みと連行)」、追放につながる奴隷制やトラフィッキング(人身売買)についての誤った知識と極端な見方から生ずる悪影響

? 警察などの国家機関による暴力

セクシュアル・リプロダクティブヘルスサービス、カウンセリング、コンドームを利用しにくくなる

HIV予防とケアに必要な機材や薬の治験に関連した倫理的問題や人権侵害

上記の問題点について、UNAIDSのガイダンス・ノートは、適切には対処しておらず、この国連文書でのトラフィッキング、パートナーの削減、HIV検査テストへのアプローチはこれまでの濫用を加速させることは確実です。しかも援助を必要としているはずの子どもへの性虐待に対する有益なガイダンスは盛り込まれていません。

セックスワーカーたちは、公衆衛生を実現する名目での権威主義的アプローチに対して、確固たる、しかも現実の証拠に基づく議論を提供してきました。私たちは、UNAIDSWHO100%コンドーム使用プログラムを通して政府と警察によるセックスワーカーへのさらなる管理や支配が強まることを煽らないように求めました。このプログラムでは充分なコンドームを届けられないだけでなく、強制的な検査は多くの人権侵害を引き起こします。にもかかわらず、国連機関と世界基金(Global Fund)は、このアプローチについての薄弱な証拠を受け入れ、問題含みのプログラムを拡大してしまう方向で、セックスワーカーの人権を日常的に侵害している国と無批判に連携しています。

2. このガイダンス・ノートは、HIV の予防とケアへの不適切で偏った対応を拡大させます。

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 これまで、セックスワーカーとHIV関連機関は、男性、女性、トランスジェンダーのためのHIV予防とケアのガイダンスが、国連や予防機関の独自の包括的な人権を基盤にしたアプローチ(rights based approach)に基づくべきことを求めてきました。私たちは、クライエントのためのプログラムやセックスワーカーの健康や安全に関わる偏見や差別や犯罪化の構造的課題を減らすことに、より多くの焦点が当てられるべきと訴えてきました。

 私たちは、ガイダンス・ノートが特に対価による性行為をなくしていくことを強調することに反対してきました。男女平等と女性の非識字の解消のような開発の膨大な目標があることを前提とすると、UNAIDSの文書が、HIVについての資源は、<3本の柱>の各々に等しく割り当てられるべきとすることは愚かなことです。この国連文書は(男性やトランスジェンダーでなく)女性にセックスを売ることに、男性がそのサービスを買うことに影響を与えるとする上滑りの原因分析を不適当にも強調しているのです。HIVについての限られた資源が、貧困の女性化一般や、女性の経済活動や教育を利用しにくいこと、「男らしさの構造」のような問題に対処するために分散して用いられるならば、避妊具を使わない性交を求める顧客、暴力、コンドームや情報やヘルスケアを利用しにくいこという、HIVにとっての明らかに大きな影響を与える原因には資源はほとんど向けられなくなってしまいます。

 

 

セックスワーカーたちは、現実の証拠に基づいた包括的なHIV予防とケアを求めます。

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↑ これは公に恥をさらさせるための「檻」以外の何ものでもありません。

人間としての尊厳や、公式な手段への基本的人権は、「不道徳」をみせしめにして処罰しようとする多くの政府によって、日常的にそして公的に堂々と否定されています。同時に国連は、セックスワーカーのためのHIV予防プログラムを警察が主導するよう仕向けています。このようなひどい扱いを、誰が、セックスワーカーたちがコンドームを利用でき主張できるよう力を取り戻すためだと思えるでしょうか。こんなやり方のどこが、人権を基盤にしているのでしょうか。

 

3.言語と方向性

 

UNAIDSのガイダンス・ノートは、圧倒的多数のセックスワークが虐待であると決め付け、廃止すべき対象であるとほ「救出と更生」の強調という標語の中に見られます。これは人権侵害的であり、セックスワーカーが経験している汚名を上塗りします。セックスワーカーたちの尊厳を認めるのとは正反対の扱いです。また、この文言は漠然としたものです。「価値ある仕事Decent Work」に対して、私たちセックスワークがあからさまな批判の的にならないと言われていたのに、実際にはそのようにはなっていません。

このUNAIDSのガイダンス・ノートは、セックスワークをやめさせる代替的な雇用プログラムによって、(商業的な)性行為でのHIV感染を減少させたという証拠がないにもかかわらず、代替的な雇用プログラムを通してセックスを売ることをやめさせようとしています。UNAIDSのガイダンス・ノートは、介入によって効果があるというデータには基づかず、明らかに特定の政治的、哲学的立場に依拠しています。例えば、商業的性行為の需要と供給を削減することに主眼を置く反トラフィッキング政策、小規模融資、男性性についてのワークショップを推奨しているのです。

UNADISのガイダンス・ノートは女性のセックスワーカーについてはこのような対応をとるものの、男性やトランスジェンダーのセックスワークについては対応していません。このジェンダーとセックスワークの構造は、もう一つの作為的で誤ったカテゴリー(「MSM」)に男性およびトランスジェンダーのセックスワーカーを押し込めることによって、「セックスワーカー」というカテゴリーに作為的な制限を設けてしまいます。このようなガイダンス・ノートの記載はセックスワークを女性の課題ではなく、仕事として位置づける包括的なジェンダーのネットワークからの、非常に明確な異議申立てにもかかわらずなされてしまいました。

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結論

このようなことから、残念ながら、セックスワーク・プロジェクト国際ネットワーク(NSWP)は、PCB(プログラム調整理事会)が「セックスワーカーとの協議に基づいて<3つの柱>によるアプローチを評価する」とは示せないと、PCBのメンバーに知らせなければなりません。UNAIDSのガイダンス・ノートはその作成過程でもセックスワーカーの基本的人権を尊重していないので、私たちはこのUNAIDSの文書が公表されないことを求め、その代わり、透明性を求め、参加には形式的に意見を聞く機会を設けるだけではなく、実際の体験と適切な参加の促進という見方が必要です。

どうしてもこのガイダンス・ノートをこのまま公表してしまうならば、当事者であるセックスワーカーたちが異議を唱えていることが、この文書に明示されるべきです。

もちろんNSWP(Network of Sex Work Project)や他のネットワークは、このUNAIDSガイダンス・ノートの実施を支持しないでしょうし、セックスワーカーたちによる世界的な反対運動を展開します。

 

セックスワーカーのグループやネットワークだけでなく、IPPF(International Planned Parenthood Federation / 国際家族計画連盟) 国際エイズサービス機関会議(ICAS)、カナダHIV/AIDS法律ネットワーク、 ICWLHHIV/AIDSとともに生きる女性たちの国際コミュニティ)も私たちの提案を支持しています。またUNAIDSのパートナーである UNESCCOUNAIDSのガイダンス・ノートの署名を拒否しています。

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担当 麻鳥澄江、鈴木 文 ファクシミリ 047−320−3553 電子メール joyful@joy.ocn.ne.jp


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