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援助者の思想
境界の地に生き、権威に対抗する
著者:リンダ・ジンガロ著
鈴木文・麻鳥澄江訳
2008年9月刊行
定価:3360円(本体3200円+税)
ISBN:978-4-275-00593-9
発売日:2008/09
援助の領域で必要とされるものを、もう「癒し」とは呼ばない。多重の周縁性というアイデンティティと長年の援助者としての経験をあわせ持った著者が、「配慮ある『自己開示』」によって援助者たちの「肖像」を描きだす。 |
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御茶の水書房より刊行 |
http://www.ochanomizushobo.co.jp/cgi-bin/menu.cgi?ISBN=978-4-275-00593-9
講演とシンポジウムのお誘い
カナダ・バンクーバーで活躍する、カウンセラーで活動者のリンダ・ジンガロさんの新著『援助者の思想 境界の地に生き、権威に対抗する』の刊行を記念して、基調講演とシンポジウムを開催します。
私たちは、多くの語りを聴いてきた。性虐待の被害の語り、家族の秘密についての語り、身体についての語り、・・・・・、貧困、暴力、さまざまな差別・・・・・。
さまざまな語りはそれぞれ力を持っている。
語りによって、語る側も聴く側も傷つきうることを私たちは知っている。しかし、再び沈黙させられるのではなく、誰も傷つけられることなく、社会を変える語りをともに紡いでいくためにはどうしたらよいのか。
スピヴァクは、かつて『サバルタンは語ることができるのか』と、サバルタンたちの語りが語っても聞かれることがない、いるのにいないとされてしまう、社会による認識的暴力を提起した。
では、性虐待のサバイバー、LGBT、精神障がい者・・・の語りは社会を揺るがすことができるのか。語ることの重さを受け取め、聴く側の責任を問い詰めるとき、社会の主流で胡坐をかく人たちが認定した「真実」が揺らぐと、著者は説く。
シンポジウム前半では、著者リンダ・ジンガロさんがこのテーマについて基調講演をし、後半では、日本軍「慰安婦」問題や沖縄米軍基地と女性に対する暴力の課題、日本での性虐待のサバイバーやセクシュアル・マイノリティの支援現場などから、著書『援助者の思想』を日本の状況を一緒に考えながら深めていきたい。ぜひ、会場へおいでください。
麻鳥澄江 総合司会(すぺーすアライズ)
鈴木ふみ 会場整備(すぺーすアライズ)
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日時 2008年9月20日(土)13時15分開場 16時15分頃まで
場所 女性と仕事の未来館 ホールにて 参加費 1000円
最寄り駅はJR田町駅、または都営線三田駅
http://www.miraikan.go.jp/access/index.html
http://www.miraikan.go.jp
事前申し込みは不要ですので、当日13時15分に会場にお越しください。
前半は、リンダ・ジンガロさんの基調講演です。通訳はステファン・ラルさん。
後半は、日本での活動者との対談で、新著の内容を深めていきます。
発言者は、日本から、菊地夏野さん、原美奈子さんが出演します。
総合司会は、すぺーすアライズ室長で、女性の安全と健康のための支援教育センター理事の麻鳥澄江さんがつとめます。
なお、英語から日本語への通訳は、本書の翻訳にも大きな支援をしてくれた、NPOいくの学園のステファン・ラルさんです。
またシンポジウム開催後に、リンダ・ジンガロさんによる新著のサイン会も予定しています。
問い合わせ先 すぺーすアライズ allies@crux.ocn.ne.jp 047-376-6556
共催 すぺーすアライズ 御茶の水書房
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リンダ・ジンガロさんのプロフィール
カナダのバンクーバー市で、援助者として、教育者として、カウンセラーとして長年活動している。1970年代には「街」で生きる若者をサポートする施設と非営利団体を運営。健康と福祉に関するワークショップやトレーニングを提供しつつ、1987年からはカウンセリングと相談業務を行う。日本へは1993年頃からたびたび訪れるようになり、北海道から沖縄までさまざまな場所で、女性グループや活動者や団体と共に、弱い立場に置かれた人たちの健康と安全を高める努力と活動をしてきた。
菊地夏野さんのプロフィール
ジェンダーやセクシュアリティについて社会学的に研究。とくに現在は日本軍「慰安婦」問題や沖縄米軍基地と女性に対する暴力などの問題についてどのようにフェミニズムが理論的に捉えうるかに関心をもつ。名古屋市立大学教員。ほかにアジア女性資料センターや女性ユニオン名古屋などで活動。
原美奈子(ミナ汰)さんのプロフィール
"共生社会をつくる"セクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク」代表。1956年生。幼少期より持続的な性別違和をもち、思春期に不登校、引きこもりを経験。その後海外に出るも、どこも住み心地よくなく帰国。1984年より日英西の翻訳通訳業の傍ら東京でレズビアン・コミュニティづくりに関わり、87年に「れ組スタジオ・東京」,90年に性的虐待の自助グループ(後のSCSA)を共同結成。80年代の女性サバイバーのための自助マニュアル”The Courage to
Heal”邦題『生きる勇気と癒す力』を二見れい子氏と共訳。近年、男女の区分に違和感をもつトランスジェンダーとして「ミナ汰」の名で性的少数派の社会参画活動を開始。性自認は男女のブレンド。
リンダ・ジンガロさんの新著『援助者の思想 境界の地に生き、権威に対抗する』
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新著では「例え話」として7人の物語が登場します。
モニークは精神障がいを抱えた人たちのためのセンターの職員。福祉サービスの切捨てに抗議する集会で、自分の精神疾患の体験を語るように頼まれた。語るべきだろうか。
アニータはレイプ被害者のための電話相談員。電話をかけてきた苦しい状況の女性に自分も同じ体験があると語るべきだろうか。
ラルフは教師。子どもの頃に性虐待にあい、加害者は裁判にかけられ、被害者たちの損害請求が認められた。職場の学校で男子生徒が性被害を届け出たとき、自分の体験を話して、支持すると伝えるべきだろうか。
ジョアンは小さな町の看護師で、自殺を望んだことがある。知人が自殺未遂で運び込まれて担当したが、自分の体験を話すことは適切だろうか。
レジナは養護職員養成学校の教師でレズビアン。思春期のセクシュアリティの授業もするがクラスでは性的少数者への偏見がある。自分が同性愛者であることをカムアウトしたらどうなるだろうか。
マルレーンは心理職。父親は性虐待加害者として服役している。その事件を知っている人から性被害の援助を頼まれたが、どう言えばいいのだろう。
ジェニファーはDV被害者の頃に利用したシェルターで今は働いている。その団体の募金活動に利用体験者として登場して、薬物依存からの回復体験も語るようにと依頼された。考慮すべきことは何か。
境界の地にいる援助者とは。語ることが変革へと展開するための「知識」とは。
周縁から社会を変革できるのか?
真実とは誰にとってのものなのか?
歴史はどうやってつくられたのか?
告白しても苦痛が増えるのか?
語る代償とは何か?
自分は何者かの認識はどう作られるのか?
戦略的本質主義の何を実現し、誰を傷つけるのか?
社会を揺るがす語りとは?
を一緒に考えていきます。
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共催 すぺーすアライズ 御茶の水書房
周縁から社会を変革できるのか?
真実とは誰にとってのものなのか?
歴史はどうやってつくられたのか?
告白しても苦痛が増えるのか?
語る代償とは何か?
自分は何者かの認識はどう作られるのか?
戦略的本質主義の何を実現し、誰を傷つけるのか?
社会を揺るがす語りとは?
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