本の表紙の画像

ドメスティック・バイオレンス

−援助とは何か 援助者はどう考え行動すべきか

鈴木隆文・麻鳥澄江 著

教育史料出版会、2003年、2300円+税、ISBN4-87652-440-8

もくじ(概要)

  1. 序 章 人はひとり分を生きる
  2. 第1章 常識の転換
  3. 第2章 ドメスティック・バイオレンスとは
  4. 第3章 DVと子ども
  5. 第4章 身近な人からの暴力をなくすには
  6. 第5章 援助を考える
  7. 第6章 DVと社会資源
  8. 第7章 法的手段をとる
  9. 参考文献
  10. あとがき

もくじ(詳細)

序章 人はひとり分を生きる

基本・常識・普通

  1. 身体表現からみる男女の歴史

雄・雌=男・女区分の意味

第1章 常識の転換

常識という思い込み

  1. 性暴力について考える
    1. 健康を害する性暴力
      ひとり分の人生を安全に生きる/総合的・積極的健康
    2. 性暴力の背景にある力
      性暴力は力による支配である/同意を与えられて成り立つ性行為
    3. 性行為の再認識
      性的な行為のふりをしている暴力/性行為とは安心できる行為である
    4. 性暴力は男性問題
      男性の未熟さと無関心
    5. 「性暴力」の実態
      予想したよりも実態は大きい/沈黙してきた歴史があった/加害者が沈黙を強いる/社会の仕組みも沈黙を強いてきた/子どもへの沈黙の強制
    6. 性暴力の影響
      変化は当然である
    7. 犯罪を隠す俗説・神話
      性暴力への俗説をあらためる/「俗説・神話・暴言」の意味/女性の安全感をこわす/加害者への俗説もある/軽視される「セクハラ」の誤解
    8. 社会が解決する課題
  2. 専門職者の課題

    専門職者の常識の転換/専門職者は援助者であるべきである

    1. 援助者の選択
      利用者=自分の人生の専門者/伝わらない言葉をやめる/利用者の「智恵」を受け継ぐ/領域を広げる専門職者へ/専門知識だけでは偏る/社会問題として正確に分析する
    2. 救済者感覚からの脱皮
      「してあげる」のではない/「利用してもらう」感覚の獲得
    3. 専門的援助と支配
      専門者支配/援助者の満足を優先しない/本人ができることを取り上げない/反省したい専門職支配
    4. 専門職者がやりがちなこと
      被害者の治療は方向違い/診断の危険性/従来の被害者像を捨てる/母親に責任を負わせない/診断について反省すべき歴史/権利擁護し政策を勝ち取ること/悪しき心理的専門主義への反省
    5. 援助者の姿勢
      援助者の倫理
    6. 搾取をしない
      援助者による搾取の問題/多重関係を持たない/利用者との性関係はありえない/援助者自身が未熟さを脱する/専門職者は勝手に代弁できない/男性は女性を代弁できない/事例発表と倫理/マスコミ報道対応と倫理
    7. 秘密を守る
      法的レベルでの守秘義務
  3. 社会と法律

    法律は中立で公平か?

    1. 法律とは何か
      法律は制定した側のものである/法律の限界/法律の門/法律の知識を得る場がない
    2. 男性を標準にした法律
      男性と女性の身体/男性による堕胎罪の制定
    3. 男性でない人生
      法律は父性であり不正である/法律は女性を排除してきた/日本での参政権は公正であったか/初めての投票が80歳だった女性/男性優位文化の一掃の必要性/平等にみえる法律の問題点/議会は男性色に塗られている
    4. 法律の運用
      法律を扱う人々/法運用の担い手は男性である/男性的価値以外の軽視/調停・和解の構造が抱える矛盾/調停前置主義の矛盾/破綻した共同関係の直視
    5. 社会の仕組みの作り手
      社会の枠組みは誰が作っているか/強姦の定義/男性感覚の定義
    6. 性犯罪の法律の不合理さ
      法の力の中での女性の扱われかた/法定刑の軽さ/法が守ろうとするもの/家の財産としての「貞操」/僭越な落ち度探し/合意という言葉の危うさ/合意の押し付け/詰問調の事情聴取
    7. 「法律は中立」は使えない
    8. 法制度を作り直す
      緊急一時避難所を公設する/児童扶養手当の確保/セクシュアル・ハラスメント/ポルノグラフィ/DV法改正に向けて/暴力に関する正当防衛など/女性側の法心理学者の活躍
    9. 法律を使わない
      法律を使わない生き方もある/婚姻は差別を増やすことである/法律における選択と援助
  4. 男女不平等の現実の直視
    1. 女性差別の現状
      暴力が生じる関係に平等はあるか/男性に妻子を養う給料を払う社会/タダ仕事をしない男性
    2. 女性差別の再認識
      女性を一人前を見ない歴史/「婦人」「主婦」を自称する/個人の集団「女たち」の登場/女性という性全体への侵害/男性という「立場」
    3. 男女共同は必要か
      「男女共同参画」は何者か/助産師反対/異性愛強制社会を問い直す
  5. 婚姻制度は平等で安全な制度か
    1. 結婚、婚姻制度は平等で安全な制度ではない
      結婚の維持は女性の責任か/婚姻制度/離婚後の困難さ/女らしさは二重拘束/女性は親権者になれなかった
    2. 女性不在の生殖
      男文化の「嫁・貸し腹」の強制/女性と生殖/食糧危機と多産、人口管理の行方
    3. 男性のあり方を問う
      男性=加害性がある/性暴力は男性の人生の課題である/男性のあり方を問い直す
    4. 男女区分を見直す
      男女区分では足りない
    5. 男から離れる
      男から限りなく離れる/性を移動する/男女愛の身体表現
  6. 常識の転換

    ノーマルなことなど何もない

第2章 ドメスティック・バイオレンスとは

  1. 外来語を使う理由

    国を越えて同感する女性たち/日本の法律でのDVの定義は狭い

  2. DVの仕組み

    男性権力の行使・悪用/私的領域(=家)の理論/家庭という監獄/長時間にわたるDV/DVを補強する社会制度の不備/暴力に甘い司法界

  3. DVの分類
    1. 身体的暴力
      身体的暴力とは/DVは健康問題である
    2. 精神的暴力
      精神的暴力とは/暴力から萎縮へ
    3. 経済的暴力
      経済的暴力とは/女性への暴力がつくる貧困
    4. 性暴力
      性行為の強要
    5. 社会・文化的暴力
      社会制度・文化を通しての暴力/女性が抱える困難
  4. 女性に対する暴力

    国際的な動き/日本でも民間が国を動かした/2001年DV法の制定の意義/今後の見直しに向けて/法律の世界的な問題点

  5. DVの特徴

    継続する暴力/潜在化する暴力/同性愛者間での暴力と潜在化/逃げにくい

  6. DVの実態

    総理府の調査/東京都の調査/警察庁の「犯罪統計書」/海外の統計/社会的否認の壁/調査方法と倫理/援助としての調査/警察の対応を変えた統計数値/統計数値では伝えられないもの

  7. DVの俗説

    DVの実態についての俗説を論破する/加害者についての俗説/被害者についての俗説

  8. 夫からの性暴力

    夫からの性暴力の割合/結婚のイメージと結婚する/結婚に依存する男性/結婚における強姦文化/夫による強姦と法/社会と法律の近親姦への寛大さ/夫の性暴力は人権侵害である

第3章 DVと子ども

  1. 子どもが主体である

    子どもは力を持っている/子どもというのは、存在するのか/親権は子どもの生活に合わない/「女・子ども」の理由/子どもを巻き込まない/離婚と子どもへの影響

  2. 母親という拘束

    母親が子どもを決定づけるのか/母親の役割は何であったか

  3. 父親は不要である

    父親は必要か/タネとカネは偉いのか/新しい父親とは何か

  4. 大人のかかわり

    複数の大人で子どもにかかわる

  5. DVの子どもへの影響

    暴力の子どもへの影響/暴力の世代連鎖論について

  6. DV下での女性と子ども

    子どもと女性の関係/少しずつ着実に/子どもに暴力の真実を伝えること

  7. DVと別居後の再会

    裁判所での通念・俗説/男性の子育てに甘い採点の社会/親権と面接権/別居・離婚後の面接

第4章 身近な人からの暴力をなくすには

  1. 加害者対策は効果がない
    1. 性暴力は男性問題である
    2. プログラムの問題なのか
      資金投入先は加害者対策か/男権拡大の逆流との同調
    3. 加害者プログラムの効果
      加害者は変えられるのか/たいした効果がない/加害者の改善の目安る
    4. 加害者プログラムの弊害る
    5. 加害者プログラムの条件る
    6. 暴力防止のふたつの流れる
    7. 習得した暴力を手放す
  2. 大人になる前の予防
    1. 教育・予防の重要性る
    2. 子ども時代に避けることる
    3. 暴力予防についての具体例
      1. 日常の点検
        性差別についてどう扱うか/間違った常識や俗説の点検
      2. 女性ができること
        わたしのからだは私のもの
      3. 男性ができること
        男女カップルの抱き寄せ/セックスしない恋人像は正しい/ペニスの使い方/ポルノグラフィは有害である/ミス・コンテストはポルノである
      4. まわりの友だちは何ができるのか
        暴力についての俗説を復習する/暴力のない共同体をつくる
  3. 社会変革のための予防・教育

    予防についての注意点/被害を聴くことの影響/社会啓発のための相互学習/学習の強制はしない

第5章 援助を考える

  1. ひとり分を取り戻すための援助
    1. のけ者にされた人々
      主流と周縁の人々とは/女性に共通する抑圧/主流から遠い人への援助/援助の優先順位/女のクリニックの優先順位/誰もが利用できる社会
    2. 力はわが身の内にあり
      ないものは使えない、あるからこそできる/誰にもある力/女性と力/「女と健康」運動
    3. 被害者はどこにでもいる
      「サヴァイヴァー」という言葉/被害者という言葉/「特別な人」はいない
    4. ひとり分をかなえる援助
      女性の地位が社会の質を決める
  2. 当事者を尊重する
    1. 力関係に敏感になる
      こんなことは言われたくない/本人が決定できるように支える/本人希望が最優先/利用者の尊厳を失わせない
    2. 当事者の権利を尊重する
      利用者を傷つけない/当事者の権利
  3. 希望をかなえる
    1. 本人選択のための情報
      本人希望を確認する/情報の伝え方/安全のための情報/安全と安心の両方が必要/安心のための情報/つながりのための情報/必要な情報をどう当事者に伝えるか/積極的に情報を広げる/見やすい情報とは/情報を守る/利用者が選択する
    2. 危機介入時の尊重
      危機とは分岐点である/危機状況を具体的に把握する/危機を予想する/予想される危機に介入する条件
  4. 再び利用者の声に耳を傾ける
    1. 物語の書き換え
      話を聴くことは変革の糸口である/本人が物語を書き換える/変革のために聴く
    2. 当事者と援助者が打ち明ける聴く援助者の役割
      語ることは力である/被害者が語ることは良い
    3. 自己開示と安全
      打ち明けることは危険が伴う/話す話さないは当事者がきめる/開示の強要には弊害がある
    4. 公言の役割と弊害
      当事者の公言が社会を変えた/強い被害者像の押付けも失礼/公言の危険性と社会の反応
  5. 援助者と援助組織
    1. ネットワーク
      社会のネットワークをつくる/援助者同士が共同解決する/安全という視点で連携する/紹介・協力はていねいにする/他機関と交渉する/自分でネットワークを結ぶ/専門職者・援助者の自己教育/専門職者と資格制度/運動と専門化の対立
    2. 非専門者などの活動
      非専門者・ボランティアとしての義務と責任/利用者は同情の対象ではない/利用者と自分との境界線をひく
    3. 援助者の心の疲れ
      援助者の疲れによる影響/二次受傷は援助者の責任ではない/援助に疲れないために/自分を大切にする/援助者の自助グループの必要性/援助がうまくいかない場合は多い
    4. 援助者の人生の謳歌
    5. 援助組織
      組織が援助を支えるには/援助者は傷つかないという俗説/質の良い援助に必要な組織の力/援助者と援助組織の安全確保
    6. 組織での援助を続ける
      組織が持つそれぞれの課題/組織内部の権力関係を直視する/組織の細分化と巨大化と課題
    7. 組織の対社会活動
      組織の対社会的発現の難しさ/財政を安定させる/女性中心の対応への行政の統制
  6. つながりを生きる
    1. 女性運動の尊重
      ひとり分を生きる人間関係/援助方法としてのつながり/社会改革としてのつながり
    2. 社会の相互援助
      援助者は一部にしかかかわれない/女性が思い込まされてきたこと/つながり(友だち)をつくる/周囲の人を支える/周りの人(友だち)ができること/本人に選んでもらう/頼まれたことをする/友だちをつくる/友だち同士での援助
  7. 社会を変える

    被害者が逃げる理不尽さ/必要な社会資源を創造する/社会活動で確認すべき信念/怒りが生き方と社会を変える/周縁から社会を変革する/抵抗は力である/抵抗の新しい意味づけ/援助者自身の抵抗

  8. その先にあるもの

    行き止まってしまったら/やってみたことを話し合う/自己紹介をし直す/それでも一緒にいられないと感じたらいつやめてもよい/当事者にとっての回復とは

第6章 DVと社会資源

  1. 社会資源を利用する

    公的機関を利用する

    UDV当事者に必要なこと

    同居時にできること/加害者の元に戻る場合/緊急時にできること

    V暴力についての相談窓口

    配偶者暴力相談支援センター/婦人相談所/婦人相談員/福祉事務所/母子自立支援員

    W危機介入

    1関係機関の連携協力る

  2. 警察

    警察のすること、できること/警察の対応の変化

    3医療機関の危機介入

    加害者を遠ざける/家族主義の運用と実態と弊害/女性の視点を大切にする医療/医療者として援助者として/利用者に情報を戻す/保険証について/診断書について/医療機関でのDVの発見

    X住む場所

    1婦人相談所などる

  3. 民間一時避難所る
  4. 婦人保護施設る
  5. 母子生活支援施設る
  6. アパートに住む

    Y自立を援助する福祉制度

    1生活保護

    世帯単位と居住地/扶養義務についての調査/福祉事務所に行く

    2児童扶養手当など諸手当る

  7. 貸付金制度など

    母子・寡婦福祉資金

    Z子どもと生きる

    学校、保育施設で働く援助者へ教育機関の支援/転校・転園

    [仕事を持つ

    転校後の対応/DVの発見

    \外国人への立場

第7章法的手段をとる
  1. 法律を使うという手段

各過程で必要な法律の手続き

1刑事手続

DVは犯罪である

刑事裁判をする意義/法的な手続は本人が決める/警察での対応の実際と対策/告訴をする/被害届と告訴の違い

ストーカー対策

ストーカー被害の実態/ストーカーに対して何ができるか/ストーカー規制法の成立/「つきまとい等」、「ストーカー行為」の定義(第2条)/加害者の処罰/警察の仕事

ストーカー規制法の課題

2民事手続

民事手続でできること

弁護士費用/法律扶助制度

安全確保の手続 仮処分など 保護命令

保護命令の制度・要件/保護命令の内容(第10条)/保護命令利用と手続の流れ(第12条等)/迅速な裁判のための審理の方法(第13条・第14条)/保護命令の申立てについての決定等(第15条第1項目)/保護命令の取消し(第17条)/保護命令の再度の申立て(第18条)/保護命令違反の罪(第29条)/仮処分と保護命令との関係/保護命令制度の課題

離婚手続

離婚する時の手続きの流れ/離婚する時に決めること/親権について/親権の指定/親権者指定の判断基準/面接交渉権/その他/家庭裁判所での調停手続/訴訟手続/裁判に向けて自分でできる準備/離婚手続等の今後の課題

U法律をどう利用するか

1弁護士を上手に利用する

弁護士に会う前に考えること/自分にあう弁護士を探すには

2裁判援助

被害者の選択がすべてである/裁判援助者ができると良いこと/裁判での裁判援助者の役割/法廷での専門者の役割/判決後の援助

参考文献

あとがき

copyright © 2003-2004 アライズ総合法律事務所/すぺーすアライズ. All rights reserved.