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●5月28日 女たちの健康・女たちの安全 行動要請の呼びかけ 2007

安全な妊娠中絶の保障が女性の命を救う。

Call for Action

2007年5月28日

 

女と健康についての国際連帯組織であるWGNRR(最後のページをごらんください)からの呼びかけです。

毎年5月28日は「女と健康国際行動日」であり、情報を広げるために翻訳しました。どうぞ機会をつくり役立ててください。

 

● 安全でない妊娠中絶のこと

 安全でない妊娠中絶とは、必要な技術がない人により、かつ/または、最低限の医療水準にさえ満たない環境で、望まない妊娠を終わらせることです。(世界保健機関)

 

● 私たちが今行動を起こさなければならない理由

*毎年、安全でない妊娠中絶の合併症が原因で約7万人の女性が死亡し、530万人の女性が、一時的または一生続く障害を抱えます。(1)

*妊産婦死亡の少なくとも13%は、そして無数の関連した傷害は、安全でない妊娠中絶によって引き起こされたものです。(2)

*安全でない妊娠中絶の99%は発展途上国で起きています。難民の妊産婦死亡の25~50%は妊娠中絶の合併症によるものです。(3)

*世界の毎年4600万件にのぼる妊娠中絶のうち1900万件は安全でないものです。

*世界中では、一人の女性は生涯で平均1回の妊娠中絶を体験していることになります。(4)

*妊娠中絶が適切な医療環境で必要な技術がある人によって提供されるならば、妊娠中絶は全ての医学処置の中で最も安全なものの1つです。(5)

 

● 現在の世界状況

現在、世界の住民のおよそ25%は、妊娠中絶が完全に禁止されているか、または妊娠中絶が女性の生命を救う場合に限ってのみ許可されるという非常に抑圧的な妊娠中絶法をもつ54カ国に住んでいます。

2002年にはネパールで妊娠中絶が合法化され、今年2007年にはポルトガルで妊娠中絶が合法化されました。2006年にはコロンビアの妊娠中絶法での規制要件が緩和されました。ほんのつい最近2007年4月にはメキシコ・シティーで12週までの妊娠中絶が合法化されました。ポーランド議会でさえ妊娠中絶を完全に禁止する憲法改悪を拒絶しました。安全で合法な妊娠中絶を受ける機会を保障することこそ、女性の命を救い、彼女たちの健康を守り、平等を推進するのに不可欠であるという認識が世界中に広がりつつあります。(しかし、このような動きと裏腹にニカラグアでは女性の生命を救うための妊娠中絶さえも禁止する法律が昨年承認されました)

安全な妊娠中絶と妊娠中絶後のケアへのアクセスを増やすために、妊娠中絶の合法化と非処罰化に向かう流れを、私たちは利用すべきです。

 

● この行動要請は次のように実現できます

-安全な妊娠中絶へのアクセスを促進する地域でのキャンペーンと行動を起こす

-安全な妊娠中絶とミレニアム開発目標5の達成を実現する世界規模での運動に地域でのキャンペーンをつなげる

-安全な妊娠中絶の必要性についての意識を高めるために、必要なものが許可なしで翻訳され、改作され、コピーされ、再配布されるようにする

-私たちの組織とネットワークを強化する

 

この行動要請が誰に配布されたか、それがどのように使われたか私たちに知らせてください。どんな追加情報でも私たちに連絡をください。

WGNRRの連絡先:

Vrolikstraat 453-D 1092TJAmsterdam

The Netherland      http://www.wgnrr.org/

電話:+31 20 620 96 72     FAX:+31 20 622 24 50

 

女性の安全な妊娠中絶  制約と鍵

合法性:妊娠中絶が法律によって禁止されると、妊娠中絶についての支援や情報の普及や公教育が困難になります。妊娠中絶を法律で規制しても妊娠中絶の数を減らせません。むしろ法的な規制は、妊娠中絶を危険にし、女性が訴追を恐れて必要な治療を求められなくするという逆効果しかもたらしません。妊娠中絶を認める法律環境の整備は、女性が妊娠中絶サービスにアクセスできるかに影響を与える唯一の要因ではありませんが、重要な決定要素です。

合法的で安全な妊娠中絶を受ける機会の不足:妊娠中絶が合法化された地域においてでさえ、公衆衛生制度が安全な妊娠中絶を提供するための能力がない地域があり、そのような地域では女性はしばしば安全でない妊娠中絶を利用しようとします。女性たちが自分の権利を行使できるように、妊娠中絶が合法化された国では安全な妊娠中絶を受ける機会が保障される権利について知らされる必要があります。妊娠中絶が合法的である国では、それはアクセスできるものであり、その料金も利用しやすいものでなければなりません。

タブーや社会的汚名:妊娠中絶や女性のセクシュアリティにまつわる社会的偏見のために、充分な情報が得られない女性が妊娠中絶のために安全でない方法を利用し、妊娠中絶後のケアを怖くて求められず、女性が情報やサービスに接近できないならば、死を招くのです。

貧困:女性がより貧しいほど、望まない妊娠に直面しやすく、自分で妊娠中絶をしたり、医学訓練を受けていない人へ妊娠中絶のために行き、その結果、合併症のために健康への危険や入院の危険性を増します。安全で経済的にも利用しやすい妊娠中絶によって、女性やその家族の将来の財政状況も向上し、それゆえ、貧困撲滅にもつながるのです。(6)

医療サービスの場での虐待:妊娠中絶後の合併症や中絶のための治療を必要とする女性は、脅され、虐待され、処置を遅らされ、警察に通報され、侮辱され、裁判にかけられます。妊娠中絶が女性の生命と健康を保護する場合や強姦または近親姦の場合にのみ合法とする国では、熟慮のために必要な時間を置かされので、それは妊娠を出産予定日まで継続するよう強いられるのと同じであり、つまり、女性は合法な妊娠中絶を否定されます。

世界的な箝口(猿ぐつわ)令:自国以外への締め付けであるGlobal Gag Ruleが、2001年1月にジョージW.ブッシュ米大統領によって復活させられた。Global Gag Ruleは、いかなる拠出元であれ資金を使用する米国外のNGOへは、米国の家族計画援助や資金は一切与えないと命じるもので、その内容は以下である。女性の生命が脅かされたり強姦または近親姦以外のケースで妊娠中絶を実行し、妊娠中絶についてのカウンセリングを提供したり必要な機関を紹介し、または妊娠中絶を自国で合法化して利用しやくするためにロビー活動をするNGOが対象になる。Global Gag RuleはNGOの言論の自由を侵害するだけでなく、安全な妊娠中絶に関する情報へのアクセスを制限します。

 

● 私たちができる要求や行動

★基礎医療へのアクセスを創ろう:基礎医療(セクシュアル・リプロダクティヴ・ヘルスサービスを含む)は、安全でない妊娠中絶とその悪影響を避けるために利用可能でなければなりません。一次医療へのアクセスを提供する社会資源がない国では、世界保健機関は女性たちが確実に治療を受けられることで女性の健康を保護するというかかわりを強めなければなりません。

★薬 MifepristoneとMisoprostolを地域で配布できるよう認可を働きかけるロビー活動をしよう:MifepristoneとMisoprostolを用いる医学的な妊娠中絶は、妊娠初期においては安全で、費用の割りに効果がよい選択肢です。MifepristoneとMisoprostolは世界保健機関が作成した絶対不可欠な薬のリストにも登載されており、全ての国で利用できるよう認可されることが重要です。

★女性たちにMisoprostolを用いて安全な妊娠中絶ができること、どこで利用できるかについて知らせよう:安全な妊娠中絶を提供する医療施設がない地域では、800マイクログラムのMisoprostolを3回まで3時間ごと繰り返して、経膣的に用いることによって、安全に流産を引き起こし、女性の生命を救えます。(7)

★抑圧的な妊娠中絶法の撤廃を要求しよう:妊娠中絶の合法化で直ちには妊娠中絶へのアクセスが保障されるわけではありませんが、法的制約がない地域では妊娠中絶サービスはより安全になっていきます。これと対照的に、妊娠中絶についての法律が非常に抑圧的な地域では、女性は深刻で致命的な合併症を招く非常に大きな危険を伴ういわゆる闇中絶に頼りがちです。(8) 妊娠中絶が合法化されそうにない地域では、女性が刑事罰による迫害を恐れることなく妊娠中絶後のケアを求められるよう、女性が妊娠中絶によって処罰されなくなる必要があります。

★政府に責任ある行動を要求しよう:基礎医療を利用できる機会がある地域では、安全でない妊娠中絶に関連する死亡や負傷は完全に防げます!政府が国際合意とミレニアム開発目標(MDGs)を遵守して、これらの合意の実現のためには安全な妊娠中絶と妊娠中絶後のケアが不可欠であると認めるよう要求しましょう。

★妊娠中絶について私たち自身と私たちのコミュニティを教育しよう:妊娠中絶は、社会的に議論できる話題になる必要があります。妊娠中絶にまつわる市民の意識を高めることによって、社会的なタブーを破り、妊娠中絶についての法律の規制を緩和することを支持する公的表現がしやすくなります。

★女性の秘密が守られ、妊娠中絶についての現実的な助言が得られる安全な場を創ろう

★弁護士や医者と共同して支援の枠組みを創ろう:医療者や法律専門者が妊娠中絶について理解し、妊娠中絶を擁護できるよう助長してください。彼らは、コミュニティの、妊娠中絶についての市民の態度を変える政府レベルでの価値ある人材です。

★創造的な手段を使おう:妊娠中絶の課題や現実を可視可して知らせるために、演劇、音楽、美術やメディアのような創造的な手段を使用しましょう。

可能ならば、宗教指導者に安全な妊娠中絶に賛成する意見を表明するよう働きかけよう:安全な妊娠中絶を受ける機会を促進する信仰組織と連絡し、彼らの資料を信仰のコミュニティに配布してください。

 

手をとりあっていこう  妊娠中絶は、これまで人権やと社会正義の他の面から切り離されてきました。他の社会正義や人権課題との明確なかかわりを作ることでより幅広い連携で取り組みましょう。

女性たちが自分たちの妊娠中絶の話を共有でき、妊娠中絶にまつわる沈黙とタブーを破るのを手伝える目に見えるプロジェクトをつくりましょう。女性の声を最前線に押し出しましょう。妊娠中絶の非合法化と社会的汚名は、妊娠中絶をする権利を求める活動に沈黙を強いてきました。女性が妊娠中絶についての自分たちの経験と妊娠中絶が彼女たちにとって不可欠であることを公然と議論できる安全な場を作りましょう。

人権という枠組みの中に妊娠中絶の課題を位置づけるために、メディアや市民運動を利用しましょう。

早期の真空吸引法や医学的な中絶を提供できるようになるために、中堅の医療従事者や助産婦をどのように利用できるのかについて研究を続けましょう。(9)

望まない妊娠を減らすために家族計画サービスを入手しやすくしましょう。

 

2015年にむけて女性とミレニアム開発目標

ミレニアム開発目標(MDGs)は、1990年代に世界会議で合意された目標を、2001年にまとめて掲げたものです。2015年までに達成することになっているこのミレニアム開発目標は、人権、教育、環境の持続可能性、社会的公正と貧困撲滅を促進し、これらの問題に対処する政府の前進を測るための道具として利用できます。

特に安全でない妊娠中絶については、

MDGs5:妊産婦の健康増進 

目安6:妊産婦死亡率を4分の3減らす。

この目安を達成するために推奨されていること:

-セクシュアル・リプロダクティヴ・ヘルスについてのサービス、情報と教育への総合的アクセスを保障すること

-妊産婦の健康含む基本公共医療の利用者負担を撤廃する

-安全でない妊娠中絶の合併症の治療、妊娠中絶後の家族計画のカウンセリングやサービスを含む、良質の妊娠中絶後のケアへのアクセスを保障する

-妊娠中絶が違法でない状況で妊娠中絶が安全で利用しやすいことが保障されるよう医療従事者を教育する

 

 

国際会議で宣言された

リプロダクティブ・ヘルスへの女性の権利

1994年カイロでの国際人口・開発会議で、安全でない妊娠中絶の課題は公衆衛生の重要な課題であると認められました。その会議の成果としての「行動宣言」では、自由と責任をもって子どもの数、間隔と時期を決めるカップルと個人の権利と、そのために情報を持つ権利と、高水準のセクシュアル・リプロダクティヴ・ヘルスを利用できる権利を認めています。(10) 

安全な妊娠中絶への権利は、国際的な人権条約に見られる少なくとも4つの重要な人権を含みます:

それは 生命への権利、健康への権利、性差別からの解放と平等への権利、プライベートな事柄についての自律性と意思決定の権利です。

女性差別撤廃条約は、あらゆる形態の女性への差別を非難し、女性に対する差別を含む現行の法律、規則、慣習と実践を廃止または改善する措置を講ずること、及び女性に対する差別を構成する全ての刑事法の条項を廃止することを合意しています。これらの条約はリプロダクティヴ・ライツを人権として位置づけ、女性の人権保護に不可欠なものとして安全な妊娠中絶の要求を視野に入れています。

 

 

 

WGNRRの紹介

WGNRRと健康への女性のアクセスキャンペーン(WAHC)について:

WGNRRは、リプロダクティヴ・ライツを実現し、支援することを目指す集団と個人の全世界的な自主的なネットワークです。2003年5月28日に、WGNRRはPeople’s Health Movement(PHM)と協力して、健康への女性のアクセスキャンペーン(WAHC)を立ち上げました。このキャンペーンは、女性の健康に徒って鍵となることに焦点をあてて、毎年ごとの「行動要請」を出します。女性たちが適切な医療やセクシュアル・リプロダクティヴ・ライツ、リプロダクティヴな選択肢、そして性暴行にさらされないことが保障されない限り、女性は社会的平等を手に入れることはできません。行動要請は5月28日の国際女性と健康デーに動員を促進して、世界中のすべての女性が充分な医療と性と生殖についての自己決定が保障されるまで、行動と組織化することを伝えて展開することを目的とします。

● この行動要請は

Suzan DaviesがWGNRRのために作成したものです。

 

(1)(2)Ina K. Warriner  Iqbal H. Shah, Preventing Unsafe Abortion, p.2  
(2)Ipas   
(3)Ipas

(4) AGI, Sharing Responsibility: Women, Society and Abortion Worldwide, New York: AGI, 1999, Chart 6.1, p. 43.

(5)WHO, 2003

(6)www.womenonwaves.org

(7)The World Health Organization's Safe abortion: Technical and policy guidance for health systems http://www.who.int/reproductive-health/publications/safe_abortion/safe_abortion.pdf

(8) Warriner IK and Shah IH, eds., Preventing Unsafe Abortion and its Consequences: Priorities for

Research and Action, New York : Guttmacher Institute, 2006.p.2)

(9) Rates of complication in first-trimester manual vacuum aspiration abortion done by doctors and mid-level providers in South Africa and Vietnam: a randomised controlled equivalence trial, 2 December 2006, early online article,  The Lancet.

(10) Programme of  Action of the International Conference on Population and Development, Cairo Egypt, September 5?13, 1994, para. 7.3, U.N. Doc. A/ CONF.171/13/Rev.1