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●妊産婦死亡と人権についての国際イニシアティブ(IIMMHR)

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 発展途上国に住んでいる10代後半の女性にとって最大の死因は、何でしょうか? それは、病気でも、貧困でも、暴力でもありません。最大の死因は、妊娠と出産なのです。もともと妊娠・出産はワクワクする出来事のはずですが、多くの女性たちにとってはあまりに悲劇的で、時に命を落とす出来事になっています。毎年50万人以上の女性が、妊娠・出産にまつわる合併症で死亡しています。さらにその30倍もの女性たちが妊娠・出産が原因で、傷害、感染症、障害を負っています。

 このような妊娠・出産にまつわる死亡と障害のほとんどは、防止できるものです。 食い止められることなのに、それが起き続けているのは、不正義ですし、許しがたいことです。実際に専門技術者が立会う出産が保障され、妊娠・出産に伴う合併症を患う女性たちが良質の救急産科ケアを利用でき、それが女性に役立つようになっていれば、すべての妊娠した女性たちの死亡と障害を避けることができると言ってもよいくらいです。

  まんべんなく良質な助産サービスを提供するためには、しっかり対応できる保健システムが不可欠です。妊産婦死亡のほとんどは、保健システムの強化が最も必要な“南”の地域で起きています。つまり、妊産婦死亡の95%は、アフリカとアジアで起きています。アフリカの女性は生涯で20分の1という高い確率で妊娠・出産時に死亡する危機に直面しますが、先進国では2,800分の1にすぎません。あまりに不平等で許しがたい現実です。

iimmhr このような妊産婦死亡のあまりの多さは、人間性への侮辱です。妊娠した女性の、防げるはずの死亡や疾病を放置しておくことは、大きな侵害です。女性にとっての生きる権利、健康への権利、平等への権利、差別を受けない権利の侵害です。拷問、失踪、恣意的拘禁、政治犯の課題と同じように、今こそ、妊産婦死亡の課題を、重大な人権蹂躙として捉えて取り組むべき必要があります。

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 妊産婦死亡の多さには、かたよりがあります。国によって大きな格差があるだけではなく、国の中でも大きな格差があります。社会の周縁に追いやられた女性たちが、もっとも被害を被っています。例えば、先住民の女性、避難民の女性、農村地帯の女性、貧困の女性たちです。妊産婦死亡を避けられない災難として、あきらめている人があまりにも多いのです。しかし、それは誤りです。妊娠や出産に関連する死亡は、防ぐことができるのです。それなのに、みすみす放置することは女性の最も基本的人権への侵害です。回避できるはずの妊産婦死亡を放置することは、女性の生きる権利、健康への権利、平等への権利、差別を受けない権利の侵害です。今こそ、防ぐことができる妊産婦死亡を重大な人権課題と認めるべきです。妊産婦死亡を効果的に防ぐためには、良質の保健サービスを普及させるだけでなく、「人権」という言葉と基準を解決の中に取り入れることが必要です。妊産婦死亡の削減に人権の立場から取り組むことは、現状を変える力があるのです。その理由は、

  • 政府などに、妊産婦死亡を減らすための政策、プログラム、プロジェクトや公約の責任を確実に果たしてもらうことができます。
  • 妊産婦の健康についての権利を支持し擁護する人たちの仕事を支えます。
  • 市民社会が、安全な妊娠と出産を保障する責任がある政府と、市民社会の間での、建設的な対話をするための手段が増えます。
  • リプロダクティブ・ヘルス/ライツの課題への政府の取り組みの中心に、女性の平等や幸福をすえることができるようになります

 妊産婦死亡とは、妊娠中または妊娠終了後満42日未満の女性の死亡で,妊娠の期間及び部位には関係しないが,妊娠もしくはその管理に関連した、またはそれらによって悪化した全ての原因によるものをいう。ただし,不慮又は偶発の原因によるものを除く。と定義されています。

iimmhr Source: Tenth Revision of the International Classification of Diseases Anne Heslop


 妊産婦の健康への人権に基づくアプローチは、妊産婦死亡を減らすための基準や政策やプログラムを説得力あるものにし、促進して展開するために重要で不可欠な役割を果たします。多くの国々の数十年にわたる積み重ねから、妊産婦死亡を国の優先的な政治課題とすれば、妊産婦死亡を大きく減らすことができ、かつ、その効果が持続することはわかっているのです。妊産婦死亡率の削減はミレニアム開発目標の5番目の中にも掲げられているにもかかわらず、いまだに多くの国で妊産婦死亡を削減するという課題は後回しにされています。たとえば、裁判に基づかない死刑執行、拷問や恣意的な身柄拘束と同様に、容易に防げる原因で死ななければならないことは人権侵害ですが、妊産婦死亡は人権に直結する課題であるということが広くは認識されてきませんでした。今こそ、この許しがたい状況に立ち向かう努力をすべきときです。妊産婦死亡と人権についての行動、国際イニシアティブThe International Initiative on Maternal Mortality and Human Rights”はこの課題に果敢に取り組もうとしています

    妊産婦死亡についての主要な世界的合意(表明、決定された年)

  • 国連のミレニアム開発目標5:2015年までに妊産婦死亡率を1990年の水準の4分の1にする(2000)
  • 国連第4回世界女性会議、北京行動綱領(1995)
  • 世界社会開発サミットの行動計画(1995)
  • 国際人口・開発会議行動計画(1994)
  • 国連世界子どもサミット、子どもの生存、保護および開発についての世界宣言(1990)

 

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The International Initiative on Maternal Mortality and Human Rights
妊産婦死亡と人権についての国際イニシアティブ

回避できるはずの妊産婦の死亡のあまりの多さは、女性の生命がおろそかにされ、無視されていることの現れ以外の何物でもありません。女性には安全に妊娠・出産できる権利があります。政府には、女性とその家族の尊厳と権利を尊重し、反差別、公平、透明性及び参画の原則を尊重して、妊娠に関連するケアの提供を保障する責務があります。私たちの「市民社会イニシアティブ」は、人権侵害としての妊産婦死亡を減らすことを目標にしています。

私たちの目的

  • 妊産婦死亡を減らすための効果的で公平な政策やプログラムの実施に向けて政府へ説明責任を果たすよう働きかけること。
  • 国際的及び国内の両方で妊産婦死亡を減らすために必要な資源を増やすようにすること。
  • 妊産婦死亡の課題を人権課題として位置づけるよう、関係者たちの理解を促進し、専門知識を提供すること。

私たちは妊産婦死亡を減らすために、これまで積み重ねられてきた人権に基づいたアプローチを支持し、拡大にも努めます。

このイニシアティブは、人権や保健に関する専門者から構成される諮問委員会からの助言や意見を取り入れて、最大12名で構成される運営委員会によって運営されています。この目標を推進することに取り組む世界の“北”や“南”の会員を積極的に歓迎します。

 

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 私はつい疑ってしまうことがある。もし男性が出産しなければならず、出産による死亡や疾病がもっと深刻ならば、現状よりも多くの資源を呼び込み集められるはずです。 

(ポール・ハント 達成可能な健康への権利水準に関する国連特別報告者 2006年10月19日、国連総会にて)


妊産婦死亡に適用されうる権利

  • 生きる権利
  • 最高水準の健康を享受できる権利
  • 平等への権利
  • 差別を受けない権利
  • 産む子どもの数や出産間隔を決定する権利
  • 残虐・非人道的または屈辱的な処遇を受けない権利
  • 教育を受ける権利
  • 情報を利用できる権利
  • 科学の発展による恩恵を享受できる権利

 これらの権利は、世界人権宣言、市民的および政治的権利に関する国際規約(国際人権B規約)、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約(国際人権A規約)、女性差別撤廃条約、拷問等禁止条約などの主要な人権についての条約や国際文書にはっきりと記されています。

 貧しい女性は、妊娠・出産の際、死亡します。なぜなら、彼女たちの命を救うにはあまりにもわずかなサービスしか存在せず、しかもそれは利用しにくいからです。すべての女性は、良質の医療や保健的ケアを利用できる権利があります。どこに住んでいても、どのような人であっても、どのような経済状態であっても、当然の権利なのです。

 

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