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●女と財産連載 その1

2008年7月14日

こんにちは。お久しぶりです。
北海道でのG8サミットが終わり、このブログに戻ってきました。

 日本には、男女平等の憲法があり、男女雇用機会均等法も制定され、女性差別を感じないという発言も聞くことがありますが、実際には、まだ女性差別は歴然と存在します。最近では貧困というと、男性の姿がよく報道されますが、女性のほとんどは昔から貧困だったし、シングルマザーの多くは貧困そして選択の余地のない非正規労働に直面しています。また、女性が財産のことを口に出すがふさわしくないというイメージがあてがわれているため、不公平を口に出しにくいです。相続の場面や離婚の場面など、その不公平は顕在化します。
G8サミットにあわせて直前の7月4日に札幌で開催した、G8女性の人権フォーラムでは、30人近い女性たちからの発言がありました。力強い発言ばかりで、企画にかかわった私としても興奮しましたが、みなが力強く立ち向かっている現実は、過酷な女性差別です。

 海外では、女性の財産権や相続権が保障されていない国があります。1995年の北京世界女性会議での行動綱領以降、制度として保障しているものの、女性たちが財産権を行使できない国や地域も多いです。そのことが、サハラ砂漠以南の地域での女性のHIV感染者の増加に結びついています。女性が経済的に自立できないために、夫に従い、夫の親族に服従し、それを拒否すれば地域社会の保護を受けられない。とくにアフリカでは、土地などの財産は食料を生み出す貴重な資源です。これを奪われれば、生きていけなくなります。そんな背景があって、外からHIVを持ち込んだ夫との性交渉を拒めず、夫の死亡後は夫の兄弟にもその女性ごと相続され、また食べるためにやむなくリスクの高い(商的)性行為をせざるを得ないのです。このような現実を変えようとする女性たちの動きにも、7月の北海道の企画では出会うことができました。

 ちょうど、すぺーすアライズの麻鳥澄江さんが、2008年7月26日(土)に、おおよそ60歳の女たちのパーティを開催します。
60歳の女たちが元気が出る法律?情報を少しずつ出していければと思っています。
まだまだ女性にとってはいきにくいことがたくさんあります。法律によってやり込められる女性たち、法律を悪用されて追い込まれる女性たちにも出会ってきました。血も涙もない法律を解説するだけでなく、こうやって使うこともできる、と元気がでるコーナーにできればと思っています。
ある程度まとまったら、書籍として、多くの人とこの情報を共有したいです。 

連載その1
死別・離別・非婚。法的にどう違うか

財産の面について

 誰かとの死別は、亡くなってしまったという喪失感だけではない。今まで生きていた人の席に、予期しなかったさまざまな問題や課題があっという間に座っていることにびっくりする。相手がいないという心の問題以外に、圧倒的に金銭や社会の常識が押し寄せてくる。 

 では、法的にはどうなるのだろうか。私たちの社会の法は、どうなっているか、まずは概観してみたい。

死別では、全部に口を出せる、権限がある
 女性が一人で生きる場合にもどのようにしてひとりになったかによって、立場が大きく異なる。
死別した場合、確かに喪失感は大きいが、離別・非婚の女性よりも立場は強い。周りからは強い同情で見られるだけでなく、多くの場合、亡くなったパートナーの立場を堂々と引き継げる。

 「婚姻」していれば、当然のように「法定相続人」として、財産を引き継ぐ権利が認められる。つまり亡くなったパートナーが残した財産から自動的に一定割合、それは原則として半分以上を取得する権限が法律によって認められている。いわば、その逝った人を人格の一部引き継いでいるのであり、逝った人の財産をどう分割すべきかについても堂々と発言する権利がある。

 パートナーが死亡したが、その相手と「婚姻」できなかったり、しなかった場合は、法定相続人としての権利は認められないが、一緒にいたという立場を尊重されることが増えている。たとえば、社会保障の面では事実上婚姻関係と同様の事情がある場合には、その生活が保障される仕組みが整ってきており、近年、進展が見られる。また、逝った側も逝かれた側も、できるだけパートナーが引き継ぐことを前提にしている。離別の場合、離別する相手方のことを考えて資産を残したりせず、相手方のものがもはや自分のものでなくなってしまうことを前提に、多くもらいたいと取り合うことと比べれば、死別の場合には、法律の保障がなくてもパートナーを保障しようという行動が期待できる。たとえば大切な相手に遺言によって財産を残したり、生前贈与をするなど、スムーズに財産を引き継いだり、パートナーが今後も困らないような手段を多かれ少なかれ考えているものである。婚姻していない人同士の間にも、亡くなった側の財産を引きつぐのが自然という意識がどこかにある。ただし、「婚姻」していない場合には揉め事もおきやすい。法律の保護がないだけでなく、それゆえ周囲もその関係を尊重しようとせず、時には敵視するということもある。そのため、法的保障をすべきという運動が起きているのである。

 死別は、とにかく意識の面でも、権限の面でも、離別や非婚の場合とはかなり異なる。もっとも、どの人間関係にもあてたはまることだが、一緒にいたパートナー次第で、どこまで大事にし合えるかは異なる。

 また、パートナーの経済状態次第である。いくら仲が良くても、財産が残っていなければ、年金が多くなければ、死別後の経済生活も、厳しいものとなる。

離別では、半分、ふたりで作った財産の分与
 離別の場合は、自分だけでなく、別れた相手も今後生きていくわけである。離別後の自分の方がかわいいという心情は良くあることであり、ましてや相手には別の人間関係ができているかもしれず、死別のときほど気前よく分けてもらえること、もめずに財産を確保できることは期待できない。私は、弁護士として担当する離婚事件の中で、よくもここまでケチることができるかと思うほど、何が何でもくれてやらないという夫に出くわすことが多い。離婚の際には財産分与の請求によって夫婦が築いた財産を山分けするよう請求できることになっているが、これはあくまでも建前。早く別れたいという気持ちから、あきらめてしまったり、夫による巧妙な資産隠しや時間稼ぎに屈してしまうことも多々ある。なお、離婚時の年金分割制度もつい最近開始された。

 ともあれ、離別の場合も、死別の場合ほどまでの多い割合とまでは行かないまでも、ではないが、一応は「約」半分は手に入れることができる。

 ただし、この場合も財産次第である。夫婦で財産を築いてこなかったなら、離別してもほとんど手元に残らない。

非婚では、何か文書や契約が残っていない限り権利なし
 非婚の場合、もともとひとり、他人の財産はあてにできない。その決心で、自力で稼いて貯蓄したものが明日生きていくための資本である。もっとも運がよければ親や親族の財産をもらったり、相続したりということもあり、非婚の経済事情も人それぞれであるが。

 しかし、視点を変えてみるのも良い。婚姻は幸せなものという思い込みは世間では強いが、そういうものばかりでもない。いや、婚姻を体験した女性なら、むしろそういう完璧な結婚など幻想に過ぎないことはわかっているだろう。不満足な婚姻生活に、お金には換算しがたい自分の貴重な人生の時間をつぎ込んだことを考えれば、非婚も決してソンではないだろう。離婚して回収できる慰謝料はあまりにも安すぎて、婚姻していた期間の人生を取り戻すための気休めにしかならないことが多い。また死別するまで、相続や遺族年金という「ご褒美」のために夫婦でい続けるのも、トクなのか、ソンなのか。

生活の視点からはいろいろな生き方、いろいろな同居がある
 法律、とくに戸籍での形態でいうと、婚姻をピラミッドの頂点にして、婚姻、死別、離別、非婚があるが、婚姻ではない生き方の現状にはさまざまな生き方や住み方がある。シングル同士の同居もあれば、女同士で住んでみることもある。家族をしていて家族の中でしっかり「ひとり」を確立している隠れシングルという生活もある。  

 肝心なことは、それでも誰もが女であることを楽しむことである。比較しても仕方がない。工夫次第でいろいろな可能性を広げることができる。

 一言だけ付け加えれば、日本の法律は、もはや親しい人間関係で起きる現実に対応できなくなっている。戸籍に記載された血縁と婚姻だけの「関係」、つまり続柄(つづきがら、ぞくがら)によって、人間関係や権利関係、意思決定の代行などを決め付ける旧来の法制度にはほころびがあらわれ、現実の生活の中での工夫が各地でなされ、またこれに影響され制度も少しずつ変化しつつある。

 戸籍の記載よりも強いつながりがある人たちとの同居を体験する人も増えている。私たちは、戸籍の続柄を基準とするのではなく、「どこまでが家族か?」ということをそれぞれ自分の頭と心で考えなければならない時代に生きている。

 いろいろあるけど、それでも、ひとりが基本。 

 

 

 

 

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